最初の研究(2007年)
もっともよく知られている研究は信州大学が行い、Mayo Clinic Proceedingsに掲載されました(Nemoto et al., 2007)。
- 対象: 246人(男性60人、女性186人)、平均年齢63歳。
- 期間: 5か月。
- グループ: 運動なし/中程度の一定ペースで歩く(体力の約50%、1日8,000歩以上)/インターバル速歩(体力の約40%で3分、70%以上で3分を5セット以上)。いずれも週4日以上。
開始時と比べて、インターバル速歩のグループでは次のように改善しました。
| 項目 | インターバル速歩グループの変化 |
|---|---|
| 膝を伸ばす筋力(太ももの前側) | +13% |
| 膝を曲げる筋力(太ももの後ろ側) | +17% |
| 最大有酸素能力(歩行) | +9% |
| 最大有酸素能力(自転車) | +8% |
これらの向上はいずれも、一定ペースで歩いたグループより有意に大きく、安静時の収縮期血圧の低下もインターバル速歩のほうが大きくなりました。著者らは、インターバル速歩が「加齢にともなう血圧の上昇と、太ももの筋力や最大有酸素能力の低下を防ぐ可能性がある」と結論づけています。
知っておきたいこと: すべての参加者がトレーニングの目標を達成したわけではなく、上の数値はグループの平均です。また17%は脚の筋力の数値で、血圧ではありません。ネット上ではよく誤って引用されています。
より大規模な追跡研究(2011年)
同じグループによるその後の研究(Morikawa et al., 2011、British Journal of Sports Medicine)では、65歳前後の826人が同じメニューを4か月間行い、すべての測定を終えた666人を分析しました。
すべてのグループで体力と太ももの筋力が向上し、体重、BMI、体脂肪、血圧、血糖値が低下しました。もともと体力が低かった人ほど大きく改善したという結果は、これから始める方にとって心強いものです。
インターバル速歩と2型糖尿病(2013年)
デンマークで行われた小規模なランダム化試験(Karstoft et al., 2013、Diabetes Care)では、2型糖尿病の方32人を対象に、3分ごとのインターバル速歩と、同じエネルギー消費量の一定ペースのウォーキングを4か月間(週5回、1回60分)比較しました。
- 持久力(最大酸素摂取量)はインターバル速歩で約16%向上し、一定ペースでは変化がありませんでした。
- 体重や、内臓脂肪を含む体脂肪が減ったのはインターバル速歩のグループだけでした。
- 血糖コントロールはインターバル速歩で改善し、一定ペースのウォーキングでは悪化を防ぐにとどまりました。
小規模な研究ですが、どれだけ歩くかだけでなく、どう歩くかが大切だという考えを裏付けています。糖尿病の方は、運動習慣を変える前に主治医や医療チームに相談してください。
なぜインターバルが効果的なのか
一定のペースで楽に歩くことは健康にとても良いものですが、体力をさらに高めるには心臓や脚の筋肉への負荷が足りない場合があります。速歩で短い時間だけ強く負荷をかけ、ゆっくり歩きで回復することで、その負荷を何度も繰り返せます。数か月続けると、この追加の負荷が、同じ時間一定ペースで歩くよりも大きな筋力と体力の向上につながると考えられています。
研究からはわからないこと
- 参加者の多くは日本の中高年で、若い人では結果が異なる可能性があります。
- 研究期間は数か月で、数年単位ではありません。心筋梗塞などの長期的な結果は測定されていません。
- 効果は平均値です。実際の結果は、開始時の体力、運動のきつさ、継続によって変わります。
- インターバル速歩は運動習慣であり、治療ではありません。医療に代わるものではありません。
参考文献
- Nemoto K, Gen-no H, Masuki S, Okazaki K, Nose H. Effects of high-intensity interval walking training on physical fitness and blood pressure in middle-aged and older people. Mayo Clin Proc. 2007;82(7):803-811. PubMed · doi:10.4065/82.7.803
- Morikawa M, Okazaki K, Masuki S, et al. Physical fitness and indices of lifestyle-related diseases before and after interval walking training in middle-aged and older males and females. Br J Sports Med. 2011;45(3):216-224. PubMed · doi:10.1136/bjsm.2009.064816
- Karstoft K, Winding K, Knudsen SH, et al. The effects of free-living interval-walking training on glycemic control, body composition, and physical fitness in type 2 diabetic patients: a randomized, controlled trial. Diabetes Care. 2013;36(2):228-236. PubMed · doi:10.2337/dc12-0658
- Lee IM, Shiroma EJ, Kamada M, et al. Association of step volume and intensity with all-cause mortality in older women. JAMA Intern Med. 2019;179(8):1105-1112. PubMed · doi:10.1001/jamainternmed.2019.0899
- Paluch AE, Bajpai S, Bassett DR, et al. Daily steps and all-cause mortality: a meta-analysis of 15 international cohorts. Lancet Public Health. 2022;7(3):e219-e228. PubMed · doi:10.1016/S2468-2667(21)00302-9
このページは公表された研究を一般向けにまとめたもので、医学的な助言ではありません。